子どものころ
水分が嫌いだったなあ。
飲むのが苦手で、今でも一回一回飲み下さなければ中々飲めない。
ミルクも飲まなかったそうだから本質的に水分がダメなのだろう。
成人後も、喉が渇いたなあと思ってヤクルトをゴクゴク飲んで一息ついたら、半分しか減っていなくて驚いたことがある。
3歳の時だったかな。
冬の夜、母が姉に暖かいミロを入れていた。こたつの上に姉のカップが置かれ、母は私の席にも小さい小さいスヌーピーのカップを置いてくれた。
「あんたにも作ったからちょっとくらい飲みなさい」
と言われたのだが、子どもの頃の私はまるで喉が乾かなかった。何故飲まなければいけないのだろうと思ったのを覚えている。
5歳の時、はしかにかかった。
はしか自体は大したことがなかったのだが、脱水症状で入院した。
親戚の運転する車の後部座席から見る風景を覚えている。母がすごく心配してくれていた。
日赤病院に最初は連れて行かれたのだが断られた。満床だったのだろうか。
次に市民病院に連れて行かれて入院が決まり、そこからずーっと点滴を打ち続けた。
親戚が病室を出る時に、「ジュース買ってきてあげる、りんご?オレンジ?」と訊いてくれたのだが、
何故か私は子供騙しの安っぽい飲み物を推奨されたと感じて、「ぶどう」と答えたのを忘れられない。どうせ飲まないくせに何て嫌な子供だ。
昔の作りの病院だった。
看護婦は全然優しくなかった。
子供のことが嫌いだったのだろう。
トイレも和式しかなく、点滴をしながら用を足すのに手間取った。母が良かったのだが、いない時は看護婦の手を借りた。
「5歳だったら一人でできるでしょ」みたいな。
じゃあ一緒に個室に入ってくんじゃねえよ!